2. 日本の社会と自立
従来、日本の社会問題としてよく取り上げられていた事の中に「甘えの社会」といわれる問題がある。
これは、母親が幼児(ようじ)を可愛がり、小さい子供の言う事は何でも聞いてやるという、子供を
「甘やかす」態度からでてきた概念(がいねん)だ。さらに、子供が成長していっても、いつまでも
子供扱いにし、甘やかして育てる傾向からでてきた問題だとされている。その結果、子供がいつまでも
一人の大人として独立した生活ができず、親離れできなくなり、また、親は親で、子供が社会人として、
仕事をしているにも関わらず、いつまでも子供として親もとにおいておきたがったり、仕送りをし続け、
甘やかす、いわゆる子供離れのできない親も増加するという社会問題となる。
しかしこれが、家族内だけでの問題ではおさまらず、社会問題として捕らわれてきたのには、
親子関係だけではなく、内の社会で、同じような「甘え」「甘やかす」関係が人間関係の大きなツナガリと
されたからだろう。これは例えば、上司にいつも甘えていると、「いい子」になれ、お気に入りの存在で、
「美味しい生活」ができると思われ、そのためには自分の能力で切り開いていく人生より、人に
気に入られて世話をみてもらおうとする態度が一般的に社会で当然のように受け入れられたのだ。
だが、この態度は従来の年功序列的な世界では「なんとなく、さしさわりなく」考えられたが、日本人が
世界で活躍していくのには、なんと頼りの無い人間、大人になれない日本人だと、これからの大きな課題
とされているのも当然のことではないだろうか。
読解問題 宿題
1 この本文で言われている日本社会の問題とは何のことでしょうか。
2 その問題の原因はどこから発生しているのでしょうか。
3 あなたは日本人の「甘え」の概念に気が付いたことがありましたか。それは
どういう体験からでしょうか。
4 「親離れできない子供」とはどのような子供のことですか。
5 最近は、大人になっても親離れできない人が多いということでしたが、それはどのような
人のことでしょうか。
6 さらに、「子離れできない親」も多くなっていると言われていましたが、具体的に
どのようなことでしょうか。
7 「自立」について、自分はどう考えているか、意見をまとめてみよう。
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